肝臓病の検査|血液検査の項目|腫瘍マーカーと肝炎ウィルスマーカー


検査機器 CTスキャン

健康診断の血液検査には、GOT、GPT、γ-GTPなど肝臓の異常を調べる肝機能検査の項目が含まれています。

精密検査が必要との通知を受けてもなかなか病院の受診を受けないケースも多いようです。

肝臓病は自覚症状があらわれにくいので、肝機能検査の数値が肝臓の異常を早期に知る方法となります。

GOT、GPT、では、成人男性に検査をすると1割の人に数値の異常が出るそうです。

内訳として、60%がアルコール性肝障害、30%が脂肪肝、10%がウィルス性の肝炎となるようです。

アルコール性肝障害は断酒することで、肥満による脂肪肝は食事の改善や運動で改善すると言われています。

慢性肝炎も早期の治療で治癒率が大幅に高まるとされています。

肝機能検査の項目と正常値

がん

  • AFP (αフェトプロテイン)           正常値:20ng/ml以下
  • PIVKA-Ⅱ                    正常値:28mAU/ml以下
  • CEA (がん胎児性抗原)             正常値:2.5ng/ml以下

血清酵素

  • GOT (トランスアミナーゼ)           正常値:8~38 U/L
  • GPT (トランスアミナーゼ)           正常値:4~43 U/L
  • γ-GTP (ガンマ・グルタミントランスペプチダーゼ)正常値:0~60 U/L
  • LDH (乳酸脱水素酵素)             正常値:200~380 U/L
  • ChE (コリンエステラーゼ)           正常値:350~750 U/L
  • ALP (アルカリホスファターゼ)         正常値:80~260 U/L
  • LAP (ロイシンアミノペプチダーゼ)       正常値:30~70 U/L

血清タンパク

  • TP  (血清総蛋白)               正常値:6.5~8.2g/dl
  • Alb (血清アルブミン)             正常値:3.5~4.2g/dl
  • ZTT (硫酸亜鉛混濁試験)            正常値:2~12U
  • TTT (チモール混濁試験)            正常値:0~5U
  • PT  (プロトロンビン時間)          正常値:10~12秒
  • HPT  (ヘパプラスチンテスト)        正常値:70%以上

脂質

  • T-Chol (総コレステロール)           正常値:130~220mg/dl

胆汁排泄

  • T-Bill (血清総ビリルビン)           正常値:0.1~1.0mg/dl
  • D-Bill (直接型ビリルビン)           正常値:0~0.3mg/dl
  • 尿ビリルビン                   正常値:陰性 -
  • 尿ウロビリノーゲン                正常値:弱陽性 ±

解毒

  • ICG  (色素負荷試験)             正常値:15分停滞率:10%以下

線維化

  • PⅢP                       正常値:0.3~0.8U/ml
  • ヒアロルン酸                   正常値:130ng/ml以下
  • Ⅳ型Collagen                  正常値:150ng/ml以下

肝臓病を調べる血液検査の項目

GOT・GPT

GOTとGPTは肝細胞内でアミノ酸の代謝に働いている酵素です。

GOTは、グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼGPTは、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼが正式名称です。

トランスアミナーゼは、アミノ酸の合成を促進する酵素でアミノ基転移酵素とも呼ばれます。

血清に含まれるこれらの酵素を血清酵素と呼び、血清酵素の増減は肝細胞の異常の指標になります。

肝細胞が壊れると、血液中に放出され高値を示します。

急性肝炎では他の検査値に先行してGOTやGPTが同時に上昇しますが他の肝障害ではどちらか一方の上昇が著しくなります。

慢性肝炎や肥満による脂肪肝などでは特にGPTの上昇が大きくGOT/GPT比が1以下になることが多いようです。

同じ脂肪肝でもアルコール性の場合や肝硬変、肝ガンなどではGOTの上昇は大きくなり、対比は1以上になります。

LDH

LDHは、別名乳酸脱水素酵素と呼ばれ、糖質をエネルギーに変える時に働く酵素です。

幹細胞に多く存在し、がん細胞にも含まれるため、急性肝炎や肝がんで細胞が壊れると血液中で増加しますが、慢性肝炎や肝硬変では数値があまり動かないとされます。

この酵素は、他の臓器のがんや、心筋梗塞、腎不全などでも上昇します。

血清アルブミン

血清に含まれるタンパク質の主なものは、アルブミンとグロブリンです。

電気氷動法という測定法で血清蛋白をアルブミンと4種類のグロブリンに分画して、比率を示す検査法を血清蛋白分画と呼んでいます。

アルブミンは肝臓で合成されるため、血清アルブミン(Alb)の量は肝機能の障害がよく反映されます。

血清アルブミンが半減するのは肝細胞の障害がよく反映されます。

血清アルブミンが半減するのは肝細胞の障害が2~4週間続いた時ですので急性肝炎ではあまり動きませんが劇症肝炎では急速に減少します。

慢性肝炎では血清アルブミンの低値傾向が続き、肝硬変では著しく減少します。

血清アルブミンはこのように病状が重くなるのに比例して低値になりますので慢性肝障害の判定にも有効であるとされています。

ChE(コリンエステラーゼ)

コリンエステラーゼは神経伝達物質などの分解に働く酵素で肝臓で合成され血液中に出てきます。

健康な時は、ほぼ一定のコリンエステラーゼが血清に検出されますが慢性肝炎や肝硬変などで肝障害が進み肝機能が低下すると血清コリンエステラーゼが低下します。

コリンエステラーゼは、血清アルブミンと比例して推移するので両者を比較することにより慢性肝障害の重症度を把握するのに役立ちます。

また、肥満による脂肪肝ではGOT/GPTが低下して1以下になると同時にコリンエステラーゼの上昇を伴うことが多いとされます。

血液凝固因子 プロトロンビン時間(PT時に)

体が傷つくと止血のために血小板と血漿に含まれる血液凝固因子と呼ばれるタンパク質が作用します。

現在発見されている血液凝固因子は13種類あるとされ、その多くは肝臓で作られるため肝機能が低下すると減少します。

その減少は血清アルブミンより早期に起こるため急性肝炎の判定に有用となります。

プロトロンビン時間(PT時に)は、血漿に試薬を入れて凝固までの秒数をはかる検査法です。

血漿に含まれるプロトロンビンなどが減ると固まるまでの秒数が伸びますが急性肝炎では軽度の延長、肝硬変では著しく延長するとされます。

血液凝固因子を調べる検査はこの他に、ヘパプラスチン・テスト(HPT)などがあります。

血清総ビリルビン

ビリルビンは、黄疸のもとになる色素で、肝臓でグルコロン酸抱合を受ける前のものを非抱合型ビリルビン、抱合を受けた後のものを抱合型ビリルビンと呼び両者をあわせて血清総ビリルビンと呼ばれています。

血清総ビリルビンは通常、1mg/dl以下ですが2mg/dl以上になると白目が黄色く濁り3mg/dl以上になると皮膚に黄疸があらわれます。

肝炎や胆石症などで胆汁の排泄が乱れると、主に抱合型ビリルビンが増加し抱合型と非抱合型を分けて測定することで黄疸の原因がわかるとされます。

血清総ビリルビンはまた、肝障害の状態を反映するので経過観察にも使用されます。

ICG試験

ICG(インドシアニングリーン)という緑色の色素を静脈に注射して15分後に採血をして血中にノコsる色素の量を示す検査で色素負荷試験とも呼ばれます。

ICGは尿中に排出されたり、組織に取り込まれることもなく全て肝臓から胆汁中に排出されます。

肝機能が正常な時は、15分後に血液中に残存している色素の量は注射した量の10%以下となります。

肝硬変などで肝臓への血流量が減少したり、肝細胞の解毒機能が低下したり胆汁の流れがスムーズではなくなるとICGの排泄の速度が遅くなります。

15分停滞率が15%以上になると活動性の慢性肝炎25%を超えると肝硬変の可能性があるとされます。

血清総コレステロール

血清総コレステロールは、動脈硬化の関連する数値です。

また、黄疸の識別にも使用されます。

血液中のコレステロールは、食べ物から摂取したコレステロールがそのまま入ったものではなくその90%が肝臓で合成されたものです。

劇症肝炎や肝硬変などで肝細胞の機能が低下すると、血清総コレステロールは低下します。

また、胆石が原因で胆汁のうっ滞が起こると、胆汁の中にコレステロールが排出されなくなるため血清総コレステロールは逆に高い数値になります。

黄疸が出ている時に、血清総コレステロールが低下していれば肝細胞性黄疸、上昇していれば閉塞性黄疸や胆汁うっの可能性があるとされます。

ALP

ALPは、アルカリホスファターゼと呼ばれる全身のあらゆる細胞にある酵素です。

肝細胞では毛細胆管に接する細胞に多く含まれ胆汁中に出てきます。

胆石や腫瘍などで胆道が閉塞して胆汁のうっ滞が起こるとALPが逆流して血中値が上昇します。

中年の女性に稀に見られる原発性胆汁性肝硬変という病期ではALPとγ-GTPの上昇が特徴的だとされます。

他方で急性肝炎や慢性肝炎などの肝細胞障害ではALPの上昇は軽度であるとされます。

GOTやGPTの数値は逆に、急性肝炎で上昇をする一方で胆汁のうっ滞ではあまり動かないのでGOTやGPTとALPの数値を比較することで黄疸の識別に利用されています。

LAP

LAP(ロイシンアミノペプチダーゼ)はタンパク質分解酵素の一種で、肝臓では胆管上皮細胞に多く含まれ胆汁中にも排出されます。

胆石や主要などで胆道が閉塞して胆汁うっ滞が起こるとLAPが血液中に溢れだし、血中値が上昇します。

脂肪肝、肝炎、肝硬変、肝ガンなどでも、軽度~中程度の上昇があり上昇はほとんどが肝障害に限られ他の病気では稀であるとされています。

ALPも胆道閉塞で高値になりますが、ALPは骨でもつくられるためくる病や骨軟化症などの可能性もあります。

他方で、LAPは骨の病気などでは上昇しないので両方が同時に上昇する場合は胆道閉塞の可能性が高いとされています。

γ-GTP

γ-GTP(ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ)は肝臓、腎臓、脾臓に存在する酵素です。

肝臓では、肝細胞膜や肝内胆管などに多く含まれ、胆石や腫瘍などで胆道が閉塞して胆汁うっ滞が起こると血中値が上昇するとされています。

この酵素は、ALPやLAPよりも鋭敏で、早く異常値を示すのが特徴であるとされます。

肝炎など、肝細胞がダメージを受けた時の上昇は軽度でとどまる一方アルコール性肝障害に鋭敏に反応する特徴があるため正常値上限60U/Lの2倍以上に上昇していればアルコール性肝障害の可能性があります。

原因は胆汁うっ滞ではなく、アルコールである場合は、2週間程度の禁酒で数値が低下するため容易に識別できるとされています。

膠質反応

肝硬変などで肝臓の作業能力が低下してくると、血清タンパクの比率に変化が起こりアルブミンが減少してγ-グロブリンなどを凝固させその混濁の程度から肝障害を推測するのが膠質反応です。

ZTT(硫酸亜鉛混濁試験)やTTT(チモール混濁試験)などが広く用いられています。

GOTやGPT値に中等度の上昇がみられ、急性肝炎か慢性肝障害かの判定に迷う時は血清タンパク分画とともに膠質反応の値が参考にされます。

ZTTは血清γ-グロブリン量をよく反映するとされ急性肝炎ではTTTは上昇しますがZTTは動きません。

他方で、肝硬変などではTTTとZTTが同時に著しく上昇します。

線維マーカー

肝細胞と肝細胞を結びつけているのは、コラーゲンを主成分とする線維組織ですが慢性肝炎で肝細胞の破壊が繰り返されると肝細胞が再生する代わりに線維組織が増えて肝臓の線維化が進みます。

その際に、コラーゲンの合成亢進に伴い血液中に増えるPⅢPやⅣ型コラーゲンなどの物質を線維マーカーと呼んでいます。

PⅢPは慢性肝炎の重症化に比例して上昇します。

非活動性より活動性で値が高く肝硬変に進むと更に高値を示すとされます。

Ⅳ型コラーゲンも慢性肝炎や肝硬変などで肝臓の線維化とともに上昇するとされています。

ヒアロルン酸はアルコール性肝障害で著しく上昇するとされ肝障害の原因を診断する手助けとなります。

糖代謝マーカー

肝臓は、食事から摂った糖をグリコーゲンとして蓄え必要に応じてグルコースに変えて血液中に放出し、血糖値を正常に保っています。

脾臓から分泌されるインスリンは脾臓の糖の取り込みを促進し糖の放出を抑制します。

肝硬変になると、このインスリンの作用が働かないため血糖値が高くなり糖尿病のような状態になるので肝性糖尿病とも呼ばれ本当の糖尿病を合併することも多くなります。

肝性糖尿病では、空腹時血糖が正常で食後に高血糖になります。

グルコースを飲んで肝臓の糖代謝を見る検査を行い肝臓の予備能力を見極めます。

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腫瘍マーカーと肝炎ウィルスマーカー

腫瘍マーカー|悪性腫瘍が放出するタンパク質をマークする

ガンなどの悪性腫瘍が、血液中に放出する特殊なタンパク質を腫瘍マーカーと呼びガンの種類やガンの出来た臓器などによって異なるために、このタンパク質を目印にすればガンが発生した場所や進行状況がわかります。

腫瘍マーカーは現在約40種類が確認されており、肝がんの検査で使われるマーカーは下記の3種類です。

AFP

正常値:20ng/ml以下

現在肝がんの早期発見に最も有効とされている検査はAFP

α-フェトプロテインとされています。

AFPは、胎児期に出来るタンパクですが、肝細胞ががん化すると再び生成されます。

肝炎が急激に悪化して、肝細胞再生が活発になった時にも上昇します。

更に、レクチン分画を測定すると、肝癌ではAFP-L3分画が増加するとされています。

PIVKA-Ⅱ

正常値:28mAU/ml以下

このマーカーは、異常プロトロンビンの一種で、肝細胞がんで作られるとされています。

AFPが陰性のガンで高値を示し、肝がんの早期発見や治療の効果測定に使われています。

ビタミンKが欠乏している時や、ワーファリンを服用した時も上昇するため注意が必要です。

CEA

2.5ng/ml以下

カルチノ・エンブリオニック・アンチゲンとも呼ばれ、胎児の消化管粘膜にある糖タンパクで健康な人の血液にはわずかにしかありません。

原発性肝がんのうち胆管細胞がん、胃ガン、大腸ガン、膵臓ガンなどで特に肝臓への転移があると数値が上昇するとされています。

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肝炎ウィルスマーカー

肝炎ウィルスに感染すると、そのウィルスが作るタンパク質やその抗原に対して体内の免疫システムが作り出す抗体、ウイルス自身の遺伝子などが血液中に増加します。

肝炎ウィルスマーカーとは、これらの肝炎ウィルスに感染したときに現れる物質の総称で、血液検査でそれぞれの物質を調べることにより、

ウィルスの型、急性か慢性か、キャリアかどうか、感染力が強いか弱いかなどが分かります。

肝炎ウィルスには、A型、B型、C型、D型、E型の5種類があります。

A型肝炎ウィルス (HAV)の検査

HAVに感染しているかどうかのスクリーニングには、IgM-HA抗体を調べます。

この抗体は、A型肝炎の発症初期から2~6ヶ月間、血中に検出されるのでA型肝炎を早期に確実に診断できるとされています。

発症2週間後になると、HA抗体が陽性になるとされています。

HA抗体が陽性の人はA型肝炎の多発地帯である、東南アジアなどを旅行しても再び感染することは無いとされています。

B型肝炎ウィルス(HBV)の検査

HBVのスクリーニングにはHBs抗原を調べます。

このウィルスの構造をりんごに例えると、皮の部分にHBs抗原、果肉の部分にHBc抗原とHBe抗原、そして芯の部分にウィルス遺伝子のHBV-DNAやその合成酵素があります。

B型肝炎では、病態が同じ急性肝炎でも成人になってから感染したものか乳幼児期に感染したものか急性発症かの見極めが大切であるとされています。

初感染の場合はほとんどが一過性感染ととされ、慢性化の心配はありませんがキャリアからの発症では約10%が慢性肝炎に移行すると言われています。

そこで、HBs抗原が陽性であれば鑑別診断のため、IgM-HBc抗体やHBc抗体を調べます。

初感染の場合は急性肝炎の発症から3~6ヶ月間、IgM-HBc抗体が高値で陽性になりますがキャリアからの発症では、この抗体が陰性か低値で推移します。

ただ、この抗体が陰性、又は低値を示す初感染もあるので、HBc抗体の確認が必要です。

HBc抗体は初感染では低値陽性ですがキャリアからの発症では高値になります。

キャリアからの発症でHBe抗原やHBV-DNAポリメラーゼが陽性の場合はウィルスが盛んに増殖して血中に多量に存在して他社への感染も高くなります。

慢性肝炎への以降のプロセスと見る必要があります。

C型肝炎 (HCV)の検査

HCVのスクリーニングにはHCV抗体を調べます。

HCV抗体が陽性ならばHCVに感染しているかどうかがわかります。

ただし、HCVが陽性になるのは肝炎を発症後1~2ヶ月が経過したあとですのでこの間にHCVの検査を受けると実際にはC型急性肝炎であっても検査には陰性と出る可能性があります。

このため、肝炎が強く疑われ、A型でもB型でも無い場合は、HCVの遺伝子を測定するHCV-RNAの検査が追加されます。

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