病原体の進化(人間の世代時間は約30年、細菌の世代時間は約30分)

進化の歴史

人間は文明の進歩にともない生活様式や行動様式を変化させました。

人間を宿主にする病原体も人間の行動様式の変化に合わせて自分の遺伝子を変えてきたと考えられています。

生まれてから子孫作る時間を世代時間と言いますが世代時間が短いほど変異が起こりやすく進化が早くなります。

人間の世代時間は約30年ですが、細菌の世代時間は約30分と言われます。

ウィルスでは遺伝子がRNAのものが多く変化しやすいと考えられています。

人間を宿主として増殖する病原体だる微生物では、宿主の中で増殖できても宿主を殺してしまうと病原体自体が絶滅してしまいます。

増殖するためにはより多くの個体に感染するようになった変異株が病原体にとっての進化になります。

病原体の微生物は自分では移動できないため次の宿主へ移動するには宿主に咳や下痢を起こさせて飛沫や便の中に混じり排出されなければなりません。

上下水道が整備された環境では病原体の移動が妨げられます。

人間のウィルス伝染病では人体の細胞でしか増殖できません。

時間の経過により免疫機能により人体よりウィルスが排除される可能性もあります。

宿主を殺してしまうほど毒性が高いとウィルス自体も死んでしまうが、宿主が重症で寝こむような状態であれば咳などの飛翔により他の個体に移動出来ます。

逆に弱毒性であれば宿主は動きまわるためウィルスが伝染しやすくなります。

このような環境では弱毒性のウィルスが生き残ることが出来るためウィルス性の伝染病は次第に軽症化してきたのではないかと考えられています。

下痢を起こす赤痢菌は毒性が強く下痢を起こし出血で便が赤くなることから赤痢と呼ばれるようになりました。

水道水の塩素消毒が行われなかった時代は感染者が下痢を起こし大量の菌が放出されることから蔓延しました。

塩素消毒が実施されると軽い下痢で出血を起こさない赤痢菌が蔓延するようになりました。

この赤痢は症状が軽いため感染者が移動し手で菌を広げてしまう性質があります。

以上の説明は進化生物学からの観点での説明でした。

要約すると感染しやすい環境では病原体は強毒化のままでいられ感染しにくい環境下では弱毒性になると考えられています。

その他に持続感染ウィルスと呼ばれるウィルスも存在します。

これは幼少時に感染し、一生排除されずに宿主にも害を与えずに持続するタイプです。

例えばB型肝炎ウィルスというウィルスがありますが、人間の寿命が短い時は病原体とは考えられていませんでした。

人間の寿命が伸びてから、高齢での肝ガン発生が問題となりました。

昔は癌が発生する前に亡くなられた方が多かったのです。

ヘルペスウィルスも人間と共生して潜伏感染や持続感染するものが多いとされますが長い歴史の中で進化してきたと考えられています。

ただし、毒性の高い子宮頸癌の原因となるヒトパピローマウイルスなどもあり注意が必要です。

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