肝臓の仕組み|毎日大量の血液が通る臓器

肝臓

肝臓は、多くの役割を持っておりその役割をはたすために、たくさんの酸素が必要であ、酸素を運ぶため大量の血液が流れ込みます。

肝臓に出入りする血管は、門脈・冠動脈・肝静脈があり、なかでも門脈と呼ばれる静脈は肝臓しかありません。

肝細胞に送り込まれる血液は、1分間に1100mLで肝臓内に蓄えられている血液は、身体全体の10%以上にも相当します。

消化管で吸収した栄養を肝臓に運び込む門脈が通る

肝臓は右葉と左葉に分かれており、右葉は左葉の5倍の重さがあるとされています。

肝臓を通る血管には、心臓から血液が流れ込む肝動脈と消化管で吸収された栄養を肝臓まで運ぶ門脈が通っています。

肝動脈と門脈は枝分かれをしながら肝小葉とよばれる器官に入り、肝小葉は六角形の積み木を重ねたような形をしています。

肝小葉は肝細胞が隙間なく詰まった六角形の積み木で50万個が積み重なり肝臓を構成しています。

枝分かれした肝動脈と門脈は肝小葉の中で類洞と呼ばれる毛細血管網につながります。

類洞を流れる血液の8割が門脈から2割が肝動脈からきた血液とされています。

全ての肝細胞はこの類洞に接し栄養と酸素を取り込んでいます。

肝小葉の中心には静脈があり、この静脈がやがて一本の肝静脈に集まり肝臓から出ていきます。

肝臓を流れる血液は毎分1.5リットルで、1日で2160リットルにもなります。

肝細胞とは

肝細胞の8割を占めるのは、栄養の代謝や有害物質の解毒、胆汁を生成する細胞で肝実質細胞と呼ばれています。

残りの2割は非実質細胞と呼ばれ、その中の5%は毛細血管の壁を作る細胞で15%が毛細血管網である類洞の壁を作る細胞です。

後者の細胞は、肝臓特有の免疫細胞で、血液に乗って流れてくるウィルス、ガン細胞、壊れた赤血球などの異物を食べて消化する貪食細胞です。

代謝

血糖値を一定の範囲に保つ

門脈から肝臓に流れ込む血液は、消化管で吸収された栄養を含んでいます。

肝細胞はその栄養を取り込むと、体の要求する栄養素を合成したり一時的に貯蔵したり、体の要求にあわせて放出したりします。

代謝とは、このようにある物質を別の物質に変える働きを指します。

肝臓は、炭水化物、タンパク質、脂肪の三大栄養素やその他の栄養素の代謝の中心になっています。

糖代謝を例に取ると、炭水化物から摂取した糖質は糖の最小単位であるグルコース、つまりブドウ糖に分解され吸収されて血液中に入ります。

この血液中のグルコース濃度を血糖値と呼び糖質の過剰摂取があると肝臓は余剰なグルコースをグリコーゲンという形に変えて貯蔵します。

そして、空腹時などに血糖値が低下してくるとグリコーゲンを再びグルコースに変えて血液中に放出します。

糖尿病でも無い限り、血糖値が一定の範囲に保たれているのは肝臓のこのような糖代謝によるのです。

解毒

悪玉菌が作り出すアンモニアを尿素に変える。

解毒とは有害物質を酸化、還元、抱合などによって水溶性の物質に変え尿や胆汁の中に排泄をする働きです。

肉などを食べた時に、そこに含まれるタンパク質はアミノ酸に分解され小腸ではほとんど吸収されます。

その先の大腸では、流れてくるアミノ酸を悪玉菌が栄養源としています。

悪玉菌はアミノ酸を栄養源にして分解してアンモニア等の有害物質を生成します。

大腸では、こうしてアンモニアが発生して、吸収され血液で運ばれます。

そのアンモニアを絶えず尿素という無害な物質に変えて体外へ排出しやすくしているのが肝臓なのです。

肝炎や肝硬変の末期はこうした肝臓の働きが低下するためアンモニアが脳に回り意識障害などが起こります。

二日酔いが覚める理由

お酒を飲み過ぎた次の日などに二日酔いになりますが

時間が経つと不思議と治りますが、これは、体に取り込まれたアルコールを肝臓が解毒しているからです。

体内に取り込まれたアルコールの5%は呼気や尿の中に排泄されますが90%以上は肝細胞で解毒されます。

アルコールの血中濃度が低い時は肝細胞を浮遊しているアルコール脱水素酵素がアルコールを酸化してアセトアルデヒドに変えます。

アルコールの摂取量が多くアルコール脱水素酵素では処理が追いつかない場合は肝細胞の滑面小胞体という器官が働きを助けます。

滑面小胞体にあるミクロソーム・エタノール酸化系は薬物解毒系の一つでアルコールはここでアセトアルデヒドに分解されます。

アルコールの分解を担う比率はアルコール脱水素酵素が8割以上で残りがミクロソーム・エタノール酸化系だとされています。

このようにしてできるアセトアルデヒドは、アルコールより毒性が強く二日酔いや悪酔いの原因となります。

肝細胞のミトコンドリアと呼ばれる器官はアセトアルデヒド脱水素酵素を備えています。

アセトアルデヒドはこの酵素により酢酸に分解され酢酸はそのままか、水と炭酸ガスに分解され肝細胞から血液中に放出されます。

二日酔いである場合は、多量のアセトアルデヒドが滞留し、まだ分解しきれていない状態なのです。

胆汁の分泌

古くなった赤血球を抱合して胆汁の中に排出する。

肝細胞と肝細胞の隙間には毛細胆管と呼ばれる細い通路があり肝細胞で作られる胆汁を集めています。

毛細血管は次第に太い肝内胆管となり肝臓の外へ出ます。

肝外胆管を流れる胆汁は、胆嚢という袋に貯められ濃縮されて総胆管を通り十二指腸に分解されます。

胆汁の成分は、水分を除けば、胆汁酸、コレステロールリン脂質、ビリルビンなどです。

胆汁酸は、脂肪の消化を助ける胆汁の主成分で、肝細胞内でコレステロールを酸化して生成されます。

また、ビリルビンは古くなった赤血球が壊される際にヘモグロビンが分解される過程でできる黄色い色素です。

肝細胞は血液中のこのビリルビンをグルクロン酸という物質で抱合して水に溶けやすい抱合型ビリルビンに変えて胆汁中に排出しているのです。

抱合型ビリルビンは胆汁に混ざり、総胆管を通り十二指腸に分泌され便に混ざり体外へ排出されます。

胆汁は脂肪の消化を助ける役目の他にこのような肝臓の解毒の機能とあわせて老廃物を体外へ排出する役目を担っているのです。

肝臓は体外から栄養素を取り込む役目を担う

食べたものはや腸で消化液により吸収しやすい成分に変えられて腸壁から門脈に入って肝臓に送られます。

そして肝臓の代謝機能により体に役立つ栄養に再合成されるのです。

肝臓に取り込まれた成分は、大循環という心臓のポンプ作用により流れている動脈に乗り、体の各部の細胞まで送り届けられます。

体に不要なものや、肝臓で作られた消化を助ける胆汁酸などの成分は胆汁として腸内に戻ります。

体に必要な物質を体内に取り込み、体に不要な物質を体外に捨てる。

この腸と肝臓の物質の流れを腸肝循環と呼びます。

肝臓の働きを理解すると栄養が偏ったり、アルコールを多飲したり薬を乱用すると肝臓を悪くすることがよくわかります。

A型肝炎やE型肝炎などの経口感染による肝臓病は、口から入ったウィルスが大腸の粘膜から体内にはいり、門脈を通じて肝臓に送られて感染します。

B型肝炎C型肝炎は、輸血などで血液中に入ったウィルスが肝臓に入り発症します。

肝臓病の治療では、臓器の性質上、食事療法が大切な治療法になるとされています。

肝臓の病気一覧

人体で最大、最重量、最高温度の臓器|体の化学工場

主な働き:

  1. 栄養分を活用できる形に分解・合成する
  2. グリコーゲンや脂肪を貯蔵する
  3. 有害物質を解毒する
  4. 胆汁を生産する

肝臓の構造と働き

肝臓は人体最大、最重量の臓器

肝臓は右胸肋骨の下側にあり、成人男子で約1200g女子で1000gもある人体最大の臓器です。

多量の血液を含んでいるため体の中で最も高温で暗紫色をしています。

肝臓には固有肝動脈と門脈などが通っており固有肝動脈は肝臓が働くために必要な酵素や栄養素を補給し門脈は、胃や腸、膵臓脾臓からの血液を肝臓に送る働きをしています。

また、肝臓は右葉と左葉に分かれており、両葉からそれぞれ1本ずつ肝管が走っています。

これは肝臓がつくった胆汁の輸送管で、胆嚢に胆汁を送り込みます。

肝小葉と肝細胞

栄養素を処理、貯蔵する臓器

肝臓の基本単位は、数十万個の肝細胞が、

ひもでつながれたような形でまとまった肝小葉です。

肝小葉は、1~2m㎡ほどの大きさで、それらの細かい隙間には毛細血管が無数に走っています。

また、肝小葉には肝動脈と消化管、脾臓からの門脈が通っています。

固有肝動脈が分かれた毛細血管からは、肝臓が活動するための酸素と栄養分を吸収し門脈が分かれた毛細血管からは胃や腸から運ばれた栄養素や毒素などを取り込んで処理したり貯蔵したりします。

肝臓が再生されるしくみ

肝臓の再生能力は非常に優れており、手術などで切除しても、元の大きさに戻る再生能力があります。

再生のメカニズムは完全に解明されていませんが肝細胞の持つ染色体の数にその秘密があると言われています。

通常の細胞に含まれる染色体は46個です。

しかし、肝細胞には92個、138個、2倍、3倍の染色体を持つ者も少なくありません。

その為、他の臓器よりも早く再生するのではないかと言われています。

栄養分を分解・合成するしくみ|多くの機能を持つ臓器

栄養素の代謝、解毒、貯蔵などをおこなう生命の維持に不可欠な臓器

ブドウ糖をグリコーゲンに変えて貯蔵

肝臓は吸収した栄養分の分解、合成、解毒、貯蔵や消化を助ける胆汁の生産など生命維持に欠かせない器官です。

肝臓が持つ役割の中で最も大切なものが摂取した栄養分の化学処理です。

例えば、人間が活動する上で基本的なエネルギー源となるのは炭水化物です。

そのままでは、活用できないため腸内で果糖などの単糖に分解され、肝臓に送られます。

肝臓内ではブドウ糖に化学処理されはじめてエネルギー源として全身に供給されます。

また、この時余分なブドウ糖は、グリコーゲンという物質に変えられ肝臓に貯蔵されます。

解毒のしくみ

アンモニアなどの有害物質を分解

からだを構成しているタンパク質も分解、合成がおこなわれます。

その際に、人体に有害なアンモニアが発生しますが肝細胞はこれを尿素に変えて血液中に放出し肝臓から尿として排出されるしくみになっています。

同様に、薬などに含まれる有害な物質や消化・吸収の過程で生じた薬物なども分解し無害な物質に変化させる機能も肝臓は持っています。

また古くなった赤血球に含まれるヘモグロビンを処理する働きもあり分解されたビリルビンという成分は、胆汁や新しい赤血球をつくる材料になります。

肝臓の働き

胆汁の生産

腸内の消化・吸収を助ける胆汁を作り1日に約1Lの胆汁が作られます。

胆汁は胆嚢でいったん蓄えられてから十二指腸に送られます。

赤血球の分解

古くなった赤血球の中のヘモグロビンを分解して胆汁の材料になるビリルビンという物質を作ります。

また、肝臓に含まれる分は新しい赤血球の材料になります。

毒の処理

アルコールを分解したり毒物を無害にして胆汁の材料にします。

グリコーゲンの貯蔵

ブドウ糖をグリコーゲンとして蓄え必要なときに糖に戻します。

ビタミンの貯蔵

ビタミンを働きやすい形で蓄えます。

栄養の送り出し

蓄えた栄養を体に送り出します。

肝臓が栄養素をつくるしくみ|栄養分を化学処理しエネルギー源を生成

小腸で吸収された栄養素をからだが利用できる形につくり変える化学処理工場

体が利用しやすい栄養素に変化

肝臓は必要に応じて糖から脂肪をつくったり逆にアミノ酸や脂肪から糖をつくることもできます。

その他、ビタミンB1をコカルボキシラーゼという物質に変えて供給するなど色々ビタミンをつくり変える役割もになっています。

このように肝臓は摂取した栄養分をからだが利用できる形に変えて供給するという、化学処理工場の役割を果たしています。

いくら食物を摂取しても、肝臓がきちんと機能して適切な処理をしてくれない限り、栄養分は体内で活用されることはないのです。

肝臓で生成・貯蔵される栄養素は、それぞれのプロセスで調整されます。

炭水化物

主食であるパン、米などに含まれる炭水化物は、でんぷんや蔗糖、乳糖などの糖類に分けられます。

デンプンは唾液中の消化酵素プチアリン(唾液中に含まれるアミラーゼ)によってデキストリンという糊状の物質に変えられた後、十二指腸で消化酵素アミラーゼによって麦芽糖(マルト―ス)に変わり、小腸でマルタ―ゼによってブドウ糖(グルコース)に変わります。

糖類は小腸でスクラーゼやラクターゼなどの消化酵素によってガラクトースや果糖などの単糖類に変わります。

そして、肝臓に入った単糖類はブドウ糖に統一され必要に応じて全身へ供給されます。

ブドウ糖は全身にある細胞にとって重要なエネルギー源です。

また、ブドウ糖は貯蔵に不向きなためグリコーゲンという単糖類の集合体の形で肝臓に貯蔵され血液中の糖が減るとブドウ糖の形に戻って血液中へ送り込まれます。

タンパク質

肉や魚、大豆製品などに含まれるタンパク質は胃で消化酵素ペプシンによってペプトンというより分子の少ない物質に変えられ、十二指腸や小腸で各種アミノ酸の小さい分子に変えられ吸収されます。

肝臓では、血液中の糖の増減に応じてアミノ酸や脂肪酸からブドウ糖を作り血液中に送り出します。

また、アミノ酸の一部は体に合ったタンパク質につくり変えられ摂りすぎたタンパク質は体内に貯蔵されます。

脂肪は一部は肝臓に送られますが大部分はリンパ管から血液に流れ込み全身の細胞に蓄えられます。

脂肪

油脂類や肉の脂身にある脂肪は、十二指腸で胆汁によって吸収されやすい形にされた後、小腸で消化酵素リパーゼのはたらきによりグリセリンと脂肪酸に分解されます。

この二つは別々に吸収されたのち再び脂肪に合成され肝臓へ運ばれます。

肝細胞ではコレステロールを作る原料になります。

肝細胞は5%程度の脂肪が含まれており常に新しいものに入れ替わっています。

コレステロールは、細胞膜やホルモンをつくる大切な物質です。

ビタミン

野菜や果物に豊富に含まれるビタミン類は、肝臓に貯蔵されビタミンB1がコカルボキシラーゼに変化するなど体内で利用しやすい形に作りかえられます。

肝臓がアルコールを分解するしくみ|アルコールの分解も解毒の一種

アルコールは肝臓でアセトアルデヒドから酢酸に分解される

酵素の力でアルコールを分解

アルコールを分解するのも肝臓の役割の一つです。

胃や腸で摂取されたアルコールが肝臓に集まってくると肝臓は酵素の力によってアセトアルデヒドにさらに酢酸にと分解して最終的には二酸化炭素と水にして息や尿ととも体外に排出します。

ただし、アルコールの量が多すぎたり飲酒のペースが早すぎると分解が追い付かずに処理しきれなかったアルコールやアセトアルデヒドが全身に回って酔いを誘うことになります。

肝臓の分解能力を上回る量のアルコールを急激に摂取した場合は急性アルコール中毒の原因となり生命を脅かしかねない危険な状態となります。

人間が持つ酵素の量には個人差がありますがその人の限界量ギリギリのアルコールを摂取し続けるとかなり高い確率で脂肪肝ができアルコール性肝炎を誘発する原因となります。

肝臓には、破壊された肝細胞を再生し自力で修復する作用がありますが修復能力を超えたアルコールを摂取することによりこうした障害が生じるのです。

さらにはアルコール性の慢性肝炎から肝硬変に移行することも多いので過度のアルコール摂取は控えた方がよいでしょう。

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