ピロリ菌

(提供元:国立感染症研究)

正式名称は、ヘリコバクター・ピロリと言い、胃の粘膜に生息しているらせん形をした悪い菌で、主に胃や十二指腸などの病気の原因になります。

ピロリ菌には4~8本の鞭毛(べんもう)があり、このしっぽをヘリコプターのように回転させて移動することから、ヘリコバクター・ピロリ(正式名 Helicobacter pylori)と名付けられました。

ピロリ菌がだしているウレアーゼという酵素は胃の中の尿素を分解してアンモニアを作りだします。

アンモニアはアルカリ性なので、ピロリ菌のまわりが中和され、胃の中でも生き延びることができるのです。

また、ピロリ菌は胃の粘膜を好んですむつき、粘液の下にもぐりこんで胃酸から逃れることができます。

更に胃だけではなく、十二指腸の粘膜が胃と同じような粘膜に置き換わってしまった場所では、ピロリ菌がすみつくこともあります。

子供の頃に感染し、一度感染すると多くの場合、除菌しない限り胃の中に棲みつづけ、大人になってから感染すると激しい胃の症状をみることがあります。

ピロリ菌に感染すると、炎症が起こりますが、この時点では、症状のない人がほとんどです。

日本では約6,000万人がピロリ菌に感染していると考えられています。

酸性の胃酸から胃を守るはたらきがある表層粘膜の中で動きまわるので、胃酸攻撃にあわず生きることができ、消化性潰瘍や慢性胃炎などを引き起こすと言われています。

この慢性胃炎が、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎、胃がん、さらには全身的な病気などを引き起こすおそれがあることが明らかになってきました。

また、胃がんの患者の90%以上がピロリ菌陽性であるというデータもあり、最近の研究では、ピロリ菌感染と胃がん発生の原因とされています。

ピロリ菌の有無

下記に当てはまる人は注意した方が良いとされます。

・家族にピロリ菌の感染者がいる・・・ピロリ菌は経口感染で広まると考えれれています。日本人のピロリ菌感染率は先進国の中で際立って高いとされます。

・年齢が40歳前後である・・・1986年に兵庫医科大学で行われた調査では、40歳以上では発展途上国型、40歳以下では先進国型の感染率を示しています。これは、当時40歳以上の方は戦後の衛生状態が悪い時代に生まれ育ったため、このような高い感染率を示したと考えられています。日本でも、衛生状態の良い環境に育った若い人たちの感染率は低くなっていることが示されています。

・衛生環境の悪いところに住んでいたことがある・・・大部分は飲み水や食べ物を通じて、人の口から体内に入ると考えられています。上下水道の完備など生活環境が整備されていない国滞在されていた方は注意が必要です。

・胃炎や胃・十二指腸潰瘍を起こしやすい・・・十二指腸潰瘍を伴う慢性萎縮性胃炎患者で高率に認められるため、その主たる原因菌と考えられています。

・胃の不快感が長期間(半年以上)続いている ・・・日本人における慢性胃炎の大部分は「萎縮性胃炎」とされ、その原因もまたピロリ菌です。

・薬を飲んでも一時的にしか回復しない ・・・一般的に、ピロリ菌感染による慢性胃炎は自然治癒しないとされています。

ピロリ菌の検査

血液や尿、唾液などを採ってピロリ菌に感染したときにできる抗体の有無を調べます。

ただ、除菌治療を行ったすぐあとは抗体がしばらく残っているため、判定は困難であることに留意しましょう。

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ピロリ菌の除菌

ピロリ菌の除菌の開始前に内視鏡検査または造影検査で除菌療法の対象となる病気である胃潰瘍または十二指腸潰瘍、内視鏡検査で胃炎があるかどうかを調べてから、検査でピロリ菌に感染しているかどうかを調べます。

日本で行われている除菌療法は3剤併用療法と呼ばれ、胃酸の分泌を強力に抑えるプロトンポンプ阻害剤と2種類の抗生物質、合計3剤を1日2回(朝・夕食後)に服用するというものです。

除菌療法は7日間連続して行われますが、途中で服用をやめてしまうとピロリ菌が薬に対して耐性をもってしまい、次に除菌しようと思っても薬が効かなくなる恐れもあるので注意しましょう。

除菌療法の副作用

除菌療法を始めると、副作用があらわれることがあり、主な副作用は、軟便や下痢があります。

その他、食べ物の味がおかしいと感じたり、苦みや金属のような味を感じたなど、味覚異常があわられる人もいます。

肝臓の機能をあらわす検査値の変動が見られることや、まれに、かゆみや発疹など、アレルギー反応があらわれる人もいます。

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