血液中には、赤血球、白血球、血小板という3種類の血球があり、更に、白血球は顆粒球、リンパ球、単球に分類されます。

これらの血球は骨髄で作られ、骨髄の中は全ての血球に分化することができる幹細胞から赤血球の母細胞である前赤芽球、顆粒球の母細胞である骨髄芽球、単球の母細胞である単芽球、リンパ球の母細胞であるリンパ芽球、血小板の母細胞である巨核球が作られます。

それぞれの芽球や巨核球は、分化、成熟してそれぞれの血球になります。

急性白血病は、骨髄芽球、前骨髄球、単芽球、リンパ芽球といった未分化な細胞が分化成熟しないまま異常に増殖する疾患です。

日本では急性白血病の発生率は10万人に5人程度とされ、全国では年間5000人が発症しているとされます。

急性白血病の種類

急性白血病には急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病に分類されます。

病的細胞が顆粒球系、単球系の場合は骨髄性でリンパ系の場合は急性リンパ性白血病に分類されます。

両方とも化学療法が効果があるとされます。

症状

急性白血病になると異常な白血球が骨髄中に充満します。

正常な赤血球、白血球、血小板を作ることが出来なくなり様々な症状が現れるとされます。

主な症状は、発熱、貧血、皮膚や粘膜の出血とされます。

発熱

正常な白血球が少なくなり病原菌やウィルスに対する抵抗力が落ちて38度以上の高熱が続いたり、風邪のような症状が続きます。

貧血

赤血球が減少しても起こるので、皮膚や顔色が青白く見え動悸や息苦しさなどの症状が出ます。

出血

出血を止める働きを持つ血小板の減少でも起こり少しの打撲や内出血になったりします。

受診する科

内科

原因

他の多くの悪性腫瘍と同じ様に原因は不明とされますが、成人T細胞白血病ではウィルスが原因であるとする説も有ります。

検査

血液検査と骨髄穿刺の2つが行われ9割は診断がつくとされます。

末梢血液検査とは、静脈から採取した血液を調べ、この検査で貧血、血小板の数などを検査できます。

白血球は増加していることが多く、増加している白血球は殆どががん化した白血病細胞であることが多いとされます。

骨髄穿刺は特殊な針を指し骨髄液を採取する検査で、この検査では、白血病細胞の数を検査することができます。

急性か慢性かを診断し、骨髄性とリンパ性の区別もなされます。

白血病の子供と医師

治療

白血病治療の基本は、まず血液を完全寛解(かんかい)にすることです。

完全寛解とは体内の白血病細胞が減少し、白血球や赤血球、血小板がも正常値にもどり骨髄中の白血病細胞も5%以下になった状態のことです。

また白血病細胞がある程度減少し、病状が改善した状態を部分寛解と言いますが完全寛解とは完治したということではありません。 

この後さらに強力な地固め療法や維持療法を行い完治を目指します。

急性白血病は抗がん剤療法が最も効果的とされますが、急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病とでは使用される抗がん剤も異なります。

急性骨髄性白血病の治療

(1)寛解導入療法

完全寛解をめざして抗がん剤により白血病細胞の減少を目指す治療です。

急性骨髄性白血病では、ダウノルビシンやイダルビシンなどの抗生物質系薬剤とシタラビンなどの代謝拮抗剤を組み合わせた治療が標準的な治療法とされています。

これらの抗がん剤は1週間~10日間投与されますがそれでも完全寛解にならない場合は同じ治療を2回以上繰り返します。

これらの抗がん剤は正常細胞にも影響を与え、その結果、嘔吐、脱毛、造血作用の抑制がみられるだけでなく正常な白血球もさらに減少するため感染症を合併する危険性があります。

そこで抗菌剤や抗ウィルス剤の投与が必要になり、また貧血に対する成分輸血も必要で,これらは支持療法と呼ばれます。

(2)寛解後療法

完全寛解という状態になっても体内にはまだ白血病細胞が残存しています。

これらを根絶し再発を阻止するために行われる治療法が寛解後療法と呼ばれるものです。

通常は完全寛解を得られた併用化学療法を1コース以上行います。

これを地固め療法とよんでおり、また定期的な化学療法を長期にわたり続ける場合もありこれを維持療法とよびます。

(3)造血幹細胞移植(骨髄移植)療法

この治療法では移植前に大量の抗がん剤投与や放射線照射を行い骨髄中の白血病細胞を徹底的に破壊します。

しかし正常な血液細胞や骨髄の造血幹細胞も死滅してしまいまうため、造血幹細胞をドナーから移植し造血機能を回復させます。

ドナーは親子や兄弟骨髄バンク登録者などのケースがあります。

この治療法では再発率は低いものの副作用が大変強く通常の抗がん剤治療では予後が期待できないケースに限られます。

近年では分娩後の胎盤と臍帯に残った血液中に含まれる造血幹細胞を採取して移植する臍帯血移植も実施されるようになっています。

急性リンパ性白血病の治療

急性リンパ性白血病(ALL)では第9番染色体と第22番染色体が途中から切れて互いに入れかわり結合することによってフィラデルフィア染色体と呼ばれる異常な染色体が見られるケースがあります。

また第4番と第11番の染色体間で転座が起こったり第7番染色体が欠けたり失われることなどもあり予後や治療法にも関わってくる重要な因子の一つです。

(1)寛解導入療法

抗がん剤を中心とした治療法は急性骨髄性白血病と変わりませんが投与される抗ガン剤は異なってきています。

寛解導入療法でよく使用される抗がん剤はビンクリスチン(植物アルカロイド)ドキソルビシン(抗生物質)メソトレキセート(代謝拮抗剤)シクロホスファミド(アルキル化剤)L-アスパラギナーゼ(酵素剤)などです。

これらの併用療法が一般的でこの治療による寛解導入率は70~90%とされています。

(2)寛解後療法

完全寛解という寛解導入療法によって寛解が得られた後にも白血病細胞を減らし再発を防ぐため地固め療法が行われます。

これは寛解導入療法で用いた抗がん剤にシタラビンなどの代謝拮抗剤と呼ばれる抗がん剤を併用し数ヵ月にわたって投与します。

維持療法は地固め療法によって減少した白血病細胞をさらに根絶させる目的で行われます。

少量のメソトレキセート、メルカプトプリンなどの代謝拮抗剤やビンクリスチン(植物アルカロイド)やステロイド剤などの抗がん剤を組み合わせて行い通常投薬は1年~2年行います。

(3)造血幹細胞移植(骨髄移植)療法

この治療法は基本的に急性骨髄性白血病に対する移植療法と同じです。

最近ではミニ移植と呼ばれる新しい移植法が効果を上げ注目されています。

従来の造血幹細胞移植ではまず通常の数倍から数十倍もの大量の抗がん剤投与や放射線照射でがん細胞を徹底的にたたく前処置を行います。

しかし前処置は骨髄以外にも正常な臓器や組織に大きなダメージを与え患者の負担も大きく移植患者は内臓障害のない副作用に耐えられる55歳程度までと制限されていました。
 
そこで抗がん剤投与量を減らすなど前処置を軽く抑えがん細胞を弱らせた状態で移植したリンパ球により弱ったがん細胞を死滅させるという治療法が考案されミニ移植と呼ばれています。 

この治療法のメリットは、抗がん剤の副作用が少なく高齢者や臓器障害のある患者にも移植が可能になったという点です。

ただ移植リンパ球もがん細胞だけでなく正常組織をも攻撃するため免疫抑制剤の微妙な量の投与も必要となりまだ実験段階のため限られた施設でおこなわれています。 

(4)フィラデルフィア染色体をともなう急性リンパ性白血病(Ph陽性ALL)の治療

前述したように急性リンパ性白血病には異常染色体であるフィラデルフィア染色体がみられる場合もあります。

これまではその染色体異常がないPh陰性ALLと同様の通常化学療法が行われ寛解率は50~80%とされていました。

しかし再発率がきわめて高く予後も不良で長期に寛解を維持できるのは10%前後と言われています。

このように,Ph陽性ALLは化学療法だけでは治癒を期待することが困難なため治癒を目指した治療法としてドナーから骨髄を提供される造血幹細胞移植(骨髄移植)が行われています。

また近年では分子標的療薬としてイマチニブ(メシル酸イマチニブ)が開発されました。

この分子標的治療薬はがん細胞が異常に増殖するために重要な細胞膜にある受容体のチロシンキナーゼという酵素の働きを妨害するものです。

このイマチニブはPh陽性ALLにも効果があると期待されていますが慢性骨髄性白血病には適用となっているものの急性リンパ性白血病には保険適用がなくいまだ臨床試験中の段階です。