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妊娠のプロセス

女性の生殖器の中で受精と妊娠の際に重要な役割をするのが卵巣、卵管、子宮などがあります。

卵巣は子宮を挟んでそれぞれ左右に1個づつあり、卵子を作り女性ホルモンを分泌する働きを担っています。

女性は生まれた時から卵巣に原始卵胞と呼ばれる卵子の原型を持っています。

月経が始まるころになると原始卵胞のいくつかは、卵胞刺激ホルモンの働きにより卵子になります。

卵子は0.1mmから0.2mmぐらいの大きさなので肉眼でも見ることができます。

卵胞が成長すると卵胞膜から卵胞ホルモンを分泌します。

卵胞ホルモンは、卵胞刺激ホルモンの分泌を抑制するが、卵胞の成熟による卵胞ホルモンの急激な増量は、排卵を促し黄体を形成させる機能のある黄体化ホルモンを分泌します。

このようにして1ヶ月に1回卵巣から卵子を排出します。

排卵が終わると、卵胞のあとに黄体が作られ黄体化ホルモンと卵胞ホルモンが分泌されます。

黄体化ホルモンは基礎体温を上昇させ、子宮内膜を分泌期に変え、受精卵を迎え妊娠を維持する環境を作る働きがあります。

これらのプロセスが明らかなように様々なホルモンが、卵子の成長を促し受精に必要な条件を整えて、卵巣から卵子を排出させるのです。

卵巣から放出された卵子は、卵管采によって受け止められ卵管の中に取り入れられます。

卵管采につづく卵管の部分には卵管膨大部と呼ばれます。

卵管采が受け止めた卵子は卵管膨大部に送り込まれ精子の受精を待ちます。

膣内に射精された精子は子宮頚管の中を進み子宮腔に達し、卵子が待つ卵管膨大部まで進みます。

精子は1回の射精で数億個放出され、健康な男性では1mlの精子に5千万個から1億個の精子が存在します。

しかし、数時間から十数時間で卵管膨大部にたどりつくのは数百個程度とされます。

最後まで残ったこれらの精子は卵管膨大部にある卵子へ向かいます。

一つの精子が卵子の細胞膜を突き抜けて中に入り受精となります。

受精が成立すると受精卵のまわりに厚い膜ができ他の精子は入れなくなります。

精子は射精後48時間~72時間、卵子は排卵後24時間受精する機能があります。

受精が成立して30時間経過すると細胞分裂が始まり、受精卵は分裂を繰り返しながら卵管の中を子宮の方へ移動して、1週間後には子宮に到達して子宮内膜に入り込んで絨毛と呼ばれる根をはり妊娠が始まります。

子宮腔内で胎児は成長しますが、胎児の重力が子宮口に垂直にかかり、内子宮口で胎児の重力を支えきれないと流産をしやすい状態になりますが、それを防いでいるのが内子宮口と子宮頸部と呼ばれる器官です。

不妊の原因

これら一連の受精と妊娠のプロセスの内どこかに支障をきたすと不妊となります。

性行為中に男性が射精しない場合、射精しても精子の中に十分な精子がいなかった場合、精子が子宮頸部、子宮腔、卵管へと進めない場合、精子が卵管まで進んでも排卵がない場合、排卵日や卵子の受精能力のある時間に性行為が無い場合などがあります。

不妊の原因は、男性因子と女性因子があります。

男性因子は、精子が原因のケースでは、精子の数が足りなかったり、卵管膨大部まで到達できる精子が少なかったり、卵子の中に入り込むことが出来なくても受精には至りません。

女性因子では、原始卵細胞を育てたり、排卵を誘発したり、妊娠に適した条件を整えるホルモンが正常に分泌されているかどうかが大きな要因になります。

卵胞刺激ホルモンの分泌が不十分であれば原始卵細胞が育たないため、排卵の前段階で受精の条件を満たさないことになります。

卵胞が育っても卵胞ホルモンや黄体化ホルモンが分泌されなければ排卵が誘発されないため受精の条件を満たしません。

黄体化ホルモンが正常に分泌され、排卵し、受精しても、黄体ホルモンと卵胞ホルモンが分泌されなければ受精卵が子宮に着床することが出来ません。

絨毛性ゴナドトロピンの分泌が正常でないと、妊娠を続け流産を防ぐことが出来ません。

このようにホルモンの働きに異常があると妊娠まで至りません。

その他の要因として、子宮頚管の粘液の量と性質が、精子を進めやすくしたり進むのを拒絶したりします。

この粘液が少なかったり粘りが強すぎる場合は精子が進むことが出来ません。

特に重要なのは、卵管や子宮に何らかの病気がある場合で、子宮内膜症や子宮筋腫などがあれば、卵管の通過性が悪くなり、精子の通過性が悪くなったり、通過しても受精卵は子宮内膜に着床できない場合があります。

また、卵管に炎症があったり癒着があったりすると精子が通過できなかったり受精卵が子宮まで移動できずに妊娠っ出来なかったします。

このような卵管の通過障害による不妊は不妊全体の3割から4割を占めるとされます。

子宮筋腫や子宮奇形など子宮内腔の異常でも受精までに至りません。

不妊症の治療

不妊の治療は、不妊の原因となる男性因子と女性因子、パートナー特有の因子を特定して発見された疾病を治療する必要があります。

子宮筋腫や子宮内膜腫が不妊症の原因となっている場合はこれらの疾病を治療する必要があります。

また、性感染症が原因であればそれら疾病の治療をする必要があります。

クラミジアが原因で卵管の癒着を起こした場合ではクラミジアの治療をします。

クラミジアの治療薬は飛躍的に進歩して治療も容易になったとされます。

問題は、閉塞した卵管を元の状態に戻すことであるとされます。

卵管は炎症などにより一度塞がると自然に戻ることは無いとされます。

治療しても重症の場合は必ずしも元に戻るとは限らないとされます。

閉塞している箇所が広範囲であったり重症である場合は、完治まで時間がかかったり完治しない場合もあるとされます。

卵管が閉塞しているかどうかを調べる方法は、子宮卵管造影法が有効とされます。

造影剤を外子宮口から注入して子宮腔、卵管を通って行く様子をレントゲンで確認します。

その他、炭酸ガスや生理食塩水に色素を加えて外子宮口から子宮腔を経て卵管に注入して通過を調べる方法もあります。

また、腹腔鏡により子宮、卵管を観察する場合もあります。

卵管の閉塞が重症の場合は手術になる場合もあるとされ、治療が成功して卵管の閉塞が改善しても、ぜん動運動や絨毛運動が回復しなければ受精卵は上手く運ばれないこともあり、卵管はデリケートな部位で治療は難しいようです。

排卵の異常が原因の場合は、排卵誘発剤が使われるようです。

根治が難しい場合は、人工授精、体外受精、胚移植、配偶子卵管内移植、顕微受精法などが用いられます。

難治性、卵管性不妊には体外受精や胚移植が適用され、体外受精、胚移植の成功率は1割前後とされています。

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